ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

全速力で。



(まさか――)



あれは……



(あ……)



いつものベンチに座って。

ギターをかき鳴らす、あの頃と何も変わらない姿。


――いや、一つだけ違っていたのは……


「――スギ花粉は平気なの?」


あたしの声に、驚いたように顔を上げる。

絵のように整った繊細な顔をふちどるくせ毛が、少し伸びて鬱陶しそうだった。

薄茶色の大きな澄んだ目が見開かれる。


「……」


言葉もないまま、あわててギターをベンチに置いて立ち上がると。

まるでお約束のように、ギターが地面にガターンと落ちた。