ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「あんな悲しい目をした人を、どうしても放っておけなかった。

……裏切られたと思って、憎しみと恨みと悲しみに支配された不幸な人がいたら、薫さんも何とかしてあげたいって思うでしょ」


以前、あたしの、自分ですら気づいていなかった苦しみを溶かしてくれたように。

ごく自然に、当たり前のように。


「柚希ちゃん……

ありがとう。

本当にありがとう。兄貴を救ってくれて」


薫さんのきれいな目が月明かりに照らされてきらりと光ると。


「柚希ちゃん……」


繊細な手が、ふとあたしの頬にかかった。

いとしそうに、手が頬をそっとすべる。


(薫さん――?)


「ねぇ、知ってる?

君は今、世界で一番きれいだよ」

「薫さん……」

「オレは、君を……」