ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「だからこそ、そんなことを言ったんだよ。

もしかしたら、嫉妬してたのかもしれない」

「嫉妬?

まさか、兄貴が嫉妬なんてするわけないよ、オレに」


薫さんはそうやって笑うけど。

あたしには何となく理解できた。


黒川さんはものすごい優等生で、それも教科書的優等生で、それゆえの限界が自分で見えていたのかもしれない。

教えられたことや、既存の枠組みが超えられない。そんな限界。

薫さんは逆に、そんな枠組みなんてそもそもないから、発想も手法も何もかも自由で限界がない。

そんな薫さんが、きっとうらやましかったんだ。


「仲良いんだね、お兄さんと。住んでるところも近いし」

「ああ、これは兄貴が後から引っ越してきたんだよ。

その……東京から帰ってきたときに」

「そうなんだ」


黒川さんのほうが実は薫さんに執着してるってこと?

男兄弟って、そんな感じなのかな……?