ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「なんだよ、浮かない顔して。

うれしくないの? 金賞」

「いや、うれしいけど」

「柚希はいつもクールだよな。

……てか、市で金賞取るぐらい、柚希にとっては大したことないか」


なんて、一人でうんうんとうなずいてる。


「そんなことないってば」

「なんせ、柚希は全国クラスだからな、市で金賞くらい当たり前だよな」

「1回だけだよ、全国に行ったのは」

「普通は1回でも行けないって」


実際、全国コンクールまで進めたのは1回きりだった。

その後は、せいぜい県止まり。



始業のチャイムに着席しながら。

ふとイヤなことが頭をよぎった。