ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

その澄んだ美しい瞳を前に、あたしは何も言えなかった。


(そっか。

薫さんは、お兄さんの相手としてしか、あたしを見てなかったんだね)


公園の片隅のベンチの上からいつもあたしをそっと見守って。

何かとあたしに声を掛けたりしてくれたのも。

いろいろ話してくれたのも。

別に薫さん自身の関心でも何でもなかったんだ。


(残酷だね、薫さんは)


とってもやさしくて聡明で、残酷な人。

あたしの気持ちなんて、まるきり気づいてない。


でも――

そりゃそうだよね。黒川さんは、薫さんのお兄さんだもん。

赤の他人のあたしなんかよりずっと大事に思ってて当たり前。


急に、何もかもどうでもいいような気分になる。


(……ああ)


ふと気づいた。