ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

……でも、なぜかな。

この人の絵はそんな気分にならなかった。

ただ、この絵が連れて行ってくれる世界に浸っていたい。そんな気持ちになる。

この胸が何だかギュッとなる、夢のように美しい世界に。


(この人の来年のカレンダーかなんかがあったら買ってみようかな)


原画なんかはとても買えないけど、カレンダーならお小遣いで買える。

気軽に飾っておけるしね。


バスの振動を感じながら、あたしはずっと広告を見上げてた。

絵を眺めながら、いつの間にか微笑んでた。



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学校にいる間に記憶が飛んだことはなかった。

だから、学校は安全圏のような気がする。