ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

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(やばい、遅刻する)


急いで家から走り出てバス停に着くと、ちょうどやってくるバスが見えた。


(ラッキー)


間に合った。

ステップを駆け上がって空いてる席に座ると、はぁ、と思わず一息つく。



(あ……)


バスに揺られながらふと見上げた広告に、見覚えのあるタッチの絵が使われていた。

ひと目でわかる、人とは違う独特の作風。


(この人……最近、本の表紙などでよく使われてる人の絵だ)


繊細で、色彩豊かな美しい世界。

清らかな色合いに、強烈なノスタルジーをはらんだ、はっと目を惹く絵。