ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「んじゃ、玄関入ったとこで待っててくれる?

ちょっと財布取ってくる」

「あ、はい」


花粉症さんの後から半身で玄関にするりと滑りこむと、重いドアを丁寧に閉めた。


何気なくくるりと振り返ると。

途端に、視界いっぱいに広がる美しい情景が目に飛び込んできた。


(うわ……)


突如目の前に広がった光景に、思わず息を呑んで後ずさりしかけて、閉めたばかりのドアにぶつかる。


(あ、これ、絵だ)


世界に飲み込まれそうに思ったそれは、よく見ると壁に飾られていた絵だった。


(すごい……)


独特のタッチで描かれた、色彩豊かな、美しい世界。

子ども時代のみずみずしい感性がよみがえるような、魂の奥底から強烈なノスタルジックが呼び覚まされるような絵。

見ているだけで、涙が出てしまいそうな……