ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

表札を見るあたしに気づいたのか、メガネの奥で澄んだ目がいたずらっぽくウィンクをする。


「税務署には内緒ね」


その涼しげなきれいな瞳にドキッとして。


(あ……)


その瞬間。


(あれ――)


唐突に気づく。


(ああ、あたし――もしかして)


嘘みたいだけど。


(あたし、この人のことが好きなんだ)


この人のこと、ほとんど何も知らないのに。

突然、頬がボッと熱くなって、心臓が制御不能なくらいバクバク言い出す。


(って、今、あたしこの人の家に入ろうとしてるし――!)