ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「ええ! そうなんだ」


驚いたように言うと、身軽にさっと起き上がる。

すると案の定、起きた勢いでベンチのタブレットがごろんと地面に落ちた。


「わ、しまった。大丈夫かな」


あわてて拾い上げると、土を払う。


「それは困ったね。

お金貸してあげるよ。タクシー?

ああ。財布持ってないや」


あちこちのポケットをパンパン叩いて、ケータイを取り出した。


「ケータイの電池も切れてる」

「……」


情けなさそうな声に何だかおかしくなって、こんなときなのにあたしは思わず吹き出してしまった。


(変な人)


この人といると、さっきの一幕が何だかうそのようにすら思えてきてしまう。