ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

やさしく肩に置かれた手のぬくもりを思い出して、無駄に顔がボッと熱くなった。


(声掛けたいけど……どうしよう)


気づいてくれないかな。

なんて、一人もじもじしていると。

花粉症さんはあたしの足音に、ふと目を上げた。


(あ……気づいてくれた)


突然、胸の奥の何かがキュンと跳ねた。


「どうしたの。ずいぶん早いね。

今日は手ぶらなんだ」

「……え、と」


ほがらかな声に、どうごまかそうか迷ってしまう。

いつも画材やら何やらいろんな荷物持ってるのに、変だよね。


「あの……お財布落としちゃって、帰れなくて」


できるだけ平静を装ったつもりなのに、ちょっと変な声になってしまった。