金魚掬いに千本吊り、奥方と翡翠とで、屋台を沢山巡り歩き、射的で、茶色い毛のテディベアを取る。

綿飴に金平糖、団子も林檎飴も全部食べる。

そう計画していた本日の夏祭り。

しかし、こんな序盤で翡翠の計画に狂いが生じていた。

「いいんだよ、すー、取れなきゃ取れないでも」

苦笑いする奥方を片手で制し。

「親父、もう一度だ」

翡翠は険しい表情で硬貨を手渡す。

「へい、毎度」

ニヤニヤしながら受け取ろうとした親父は。