天神学園高等部の奇怪な面々29

気に入らない。

不良達はとにかく拓斗が気に入らなかった。

落ち着いている。

ビクビクしていない。

こんな小柄で気弱そうな奴は、大抵取り囲んでしまえば、うろたえ、怯え、顔色を窺い、生まれたての小鹿みたいに膝を震わせるというのに。

短絡的な思考の彼らは、結論に至る。

コイツ、俺らが殴れないと思っているんだ。

脅すだけで手を出しやしないと思ってるんだ。

嘗めるな。

こんな貧相な小僧相手に手を出せないほど、俺達はヘタレな不良じゃないぜ!

それを分からせる為の一発を、拓斗の鼻っ面に叩き込もうとした不良達の目の前から。

「!?」

拓斗が消えた。