『普通である事』

それがこんな所で裏目に出るとは。

殴られれば痛いし、蹴られれば傷を負う。

護身の為の術を持たない渉では、不良達相手にそれなりの傷を負わされてしまうだろう。

しかし見過ごす訳にもいかず、不良達を制止しようとした渉は。

「!」

拓斗の手によって逆に制止されてしまう。

…無言のまま首を横に振る拓斗。

その表情が、

『君はそんな事しちゃいけない』

『君はもう傷つく必要はない』

そう言っているようにも思えた。