「……」

不良達の言い分に、渉は不快感を露わにする。

モラルがない事を、弱肉強食だの弱いだのと己の都合のいいように言い換える彼らに憤りを覚える。

然程気性の荒い性格ではない渉だが、彼らには少しお灸を据えるべきだ。

少なくとも、彼らのような連中に虹華を連れて行かせてはいけない。

助けてやらなければと考え。

「……っ」

踏み出そうとした足が止まる。

…そうか。

自分はもう『危害を受け付ける体』なのだ。

最早かつての自分ではない。

『呪い』のなくなった、喜ばしい事ではあるものの普通の体なのだ。