2時間くらいしてからだろうか、手術室からドラマに出てきそうな手術着をきた先生がでてきた。

先生はマスクを外して、笑顔を見せてこういった。

「成功しました。ですが、まだ一安心というわけではありません。」

その言葉にさくらの両親と一緒に頭を下げてありがとうございますと感謝の言葉を述べた。

さくらはその日から病室で過ごすようになった。
でも、いくら待ってもさくらは目を開けない。
規則正しい心電図の音が病室を埋め尽くす。

「さくらが起きるまでここにいたいんだけど、やっぱ学校が許してくんねーの。学校ってひどいよな。」

さくらが目覚めるかもしれないと、毎日話しかけていた。
それでも、学校もあるから学校はちゃんと行っていた。

「俺ね、さくらに指輪をプレゼントするって言ったろ?今日受け取ってきたんだ。さくら、愛してるから・・だからペアリングはめてくれるよな?嫌だって言ってもはめるけどなっ!」

そう言って俺は指輪ケースからペアリングの女性用をさくらの薬指にはめた。

「右だったっけ・・?」
どっちにつけるかは忘れちゃったな、と笑ったけどさくらは笑い返してくれない。

「今日から暦上ではもう秋なんだよ、さくらは知ってた?」

さくらのお父さんはペアリングをはめていいかと俺に聞かれたとき涙を流して喜んでくれた。
だから、絶対さくらは目覚めなきゃいけなかった。