優輝side...

俺の目の前で好きな人がはねられた。
目を疑ったけど、それは事実でしかない。
目の前で跳ね飛ばされた彼女は轢いた車に逃げられてそのままその場で転がって頭から血を流している。

「誰か!誰か救急車呼んでください!」

必死だった。
好きな人を失うかもしれない恐怖を生まれて初めて味わったから。
暴力をふるって教師を傷つけたとき、あの教師の家族はこんな気持ちだったのかもしれない。

「さくら!さくら!沢山デートするんだろ!死んだらいけねーからな!」

声をかけても反応がない。
体を揺すれば起きるかと思った。
だけど、血がでているから揺すったら痛いかもしれない。

「さくら!寝るなよ、こんなところで寝たら風邪ひくよ。寝るんじゃねーぞ!」

そのうちに、救急車がきた。
さくらと俺は救急車に乗り込んで病院に向かう。
受け入れ拒否もありえるかもしれないとまで考えた。
でも、結構すんなりと受け入れ許可されたようだった。

病院に着くと、さくらは手術室に入っていった。
代われるものなら代わりたかった。
君の痛みなら俺は全て耐えられるだろうに、と何度も自分を呪った。