母に続いて私も家の中に入った

母がテーブルの前に座り私もその横に座った

「結花、この人があなたの新しいお父さんよ」
「ほら、父さんって呼んでみろよ」

男はニヤリと笑っている

もともと人見知りっていうのもあったけど体が拒否して初めは父さんって呼べなかった

「どうしたんだよ、早く呼べよ」
「…」
3歳の体は拒否した
「なぁ真由子、こいつ口ねーの?」
「ちょっ、結花!」

この人お父さんじゃない
呼びたくない

「早く呼べよ!」
ドカッ

男の怒鳴り声と共に私の体は宙に浮いた
そして床へと叩きつけられた

男に蹴り飛ばされたのだ
「ぅっ…」
母を見たけれど目をそらされてしまった
「早く言えよ、糞餓鬼」

男はうずくまる私の前にしゃがみまたニヤリと笑った

その笑いが怖くてまた殴られるんじゃないかって思って震える体をこらえて口を開いた

「…と…う…さん…」

その日から男は私の父になった

同居をし始めてすぐに母のお腹には新しい命が宿った

父との子だった



今まで家にいるときは必ず邪魔もの扱いされていた


なのに赤ちゃんが産まれてからは存在すら否定されるようになった