飛べない僕と羽ばたく君



<変わります>


走るの、好きだ

何も考えない
といえば嘘になるけど

現実のこととか
抱え込んでる悩みとか
走り続けてれば
荷物が軽くなるような
そんな錯覚が、好きだ


結局何も減ってないんだけどね


「アンドウ
そろそろあがれー」


コーチの声が聞こえる
無視

グラウンドは夜中までだって
空いてるんだから
お前ら先に帰れよ

どうせまた飲み会行って
彼女とか彼氏とか作るために
全力注ぐんだろ?

まぁ、そんなこと
口が裂けても言わないけどね


「もうちょい走りまーす
今日は調子いいんで!」

「身体壊すなよ
お前は陸上のエースなんだから」

「はーい」




俺の足
通り過ぎる風景


進み続ける

止まらない

もっと早く
早く

速く
速く


そうすればいつか

きっと飛べる