「出したい問題とかあるんですか?」



そう問いかけると彼女は広げていたテキストをめくり始める。




その指には綺麗なシルバーのリングがあった。





俺はそのリングを見ないようにしながらテキストに目を落とす。





そして彼女の手が一つの項目で止まる。




「こことか分からない生徒が多いんですよね…。説明の仕方が悪いんですかね。」




そう言うと澄んだ目で俺を見つめる。




ヤバい…。ドキドキしてきた。





その気持ちを隠すように早口で



「生徒が分かるような範囲で出せばいいと思うな。あんまり難しい問題とか出しちゃうと




生徒も疲れちゃうよ?」



と言った。