「うぅっ!可哀想な奴じゃのう」



俺のために泣いてくれる、やさしいおじいちゃん。おじいちゃんが、俺の本当の家族だったら。そんなことを考えていると涙が出そうだったから、唇を噛んでこらえる。





「古い友人が一人いるから、そこに行ってみようかの」





俺はおじいちゃんに言われるままついていく。電車に乗って着いたところは、川崎道場と看板が掲げられた古い屋敷だった。





 前に一度、来たことがあるような。そんな気にさせられるような、不思議な空間だった。





「ここの道場主である川崎龍玄はの、ブラックとしてわしとタッグを組んでおった男じゃ。奴の方はとうに引退しておるがの」




「え、ブラックって?」



 聞き慣れたようで聞き慣れない単語に、俺は思わず聞き返す。何だブラックって。