私は教室のドアの近くにいる梶山くんのもとへ向かう。


───ざわつく教室内。



「え、梶山くんって、大峰さんと付き合ってるの?」


「嘘、ショックー」


「なんで・・・?」



好奇心や、明らかに敵対心剥き出しの生徒の視線を浴びながら私は教室をあとにした。



「急に呼び出したりしてごめんな。」


梶山くんは申し訳なさそうに眉をハの字にして言う。



「全然!大丈夫だから、謝らなくて大丈夫!むしろ嬉しいから」


大丈夫って2回言ったけど、この際気にしない。



「そ、そっか、それなら良いんだけど・・・」



そう安堵したように言う梶山くん。



なんだか、可愛い。



「今日、一緒に帰りたいな、と思ったんだけど・・・」



「帰る、帰ります!」



しまった、少し勢いづきすぎたかな・・・


「はは、ありがと。じゃあ、靴箱のところで待ってるから」


笑われた。
嬉しいような嬉しくないような・・・



「わかった!」




そのあと、メアドも交換しておいた。



教室に戻ると知亜が「妄想じゃなかったのね・・・」と今更納得していた。


それも束の間。



私はクラスメイトから囲まれる。



「結乃!梶山くんと本当に付き合ってるの!?」

「え、いつ?いつから?」

「きっかけは?」


そんなに一気に質問されて答えられるわけないじゃないか。



「・・・秘密ってことで」


私はそう言ってごまかす。
だって私自身がよくわかってないから。
まだ実感湧かないし。



すると少し離れたとこれにいたギャルっぽいグループの子たちの会話が聞こえてきた。



「秘密、とかマジウザッ」

「どうせ嘘でしょ。」


「それか遊ばれてるんじゃない?」


「どうせすぐ別れるって」

聞こえてるわ、ドアホ!


女の嫉妬って、怖い・・・。

改めて思った。