すると若佐は、「そんなの決まってるだろ。まず第一に色気がない、そして馬鹿、さらに妄想癖のひどい痛い女。だれがそんな女と好き好んで付き合うんだよ。」と、さも当然のように言う。




ちらっと知亜のほうを見ると、知亜は笑いをこらえている。




「若佐だって人のこと言えないじゃん!彼女いないくせに。」




「何言ってんだよ、お前。俺はな、お前と違って欲しくても出来ないわけじゃねーし。作らないだけだから」


何、自分はモテる発言しちゃってるわけ?
若佐がモテるだなんて聞いたことがないし。



「じゃあ!私と若佐、どっちが先に彼氏や彼女が出来るか、正々堂々勝負しようじゃない」




「は?な、何言ってんだお前。なんでそうなるんだよ」



若佐は私の提案にそう言いながら、目をそらす。
明らかに動揺しているのがうかがえる。




「へーえ。さては自信がない?そうだよねぇ。若佐がモテるわけないし?」




「な!なんだよお前。知らないからな!そんなこと言って負けても!」




なんだか、すでに若佐が負け犬の遠吠えをしているようにしか見えない。




「負けないし!そうだ。どうせなら何か賭けようじゃないの」




有頂天になった私はさらに条件をつける。





「私が先に彼氏が出来たら、若佐は私の言うことを1つ聞く。
そんなことはないと思うけどもしも、若佐が先に彼女が出来たら私が1つ、若佐の言うことを聞いてあげる。
どう?良いと思わない?」




若佐はしばらく考えてから、「わかった、その賭け乗ってやる。」と、今度は急に自信ありげに言った。




知亜が「馬鹿じゃないの・・・」と呟いたのは私の耳にも若佐の耳にも届かないまま、空間に消えた。