「ねえ、聞いて!今日ね、朝の電車一緒だったんだよ!」
「はいはい、良かったねー」
私の話を面倒臭そうに聞くのは蓮条知亜。
知亜は私の一番親しい友達だ。
「何よっ、その適当な返事。」
「毎日毎日『梶山くん、梶山くん』って聞かされてる私の身にもなってよ。飽きるから。」
隣のクラスの梶山隆輔くん。
私の憧れの人。
「いいよね知亜は!モテるし、彼氏いるし」
「結乃は高望みしすぎなの!」
そう、その梶山くんは学年でも噂のイケメン。
さらに頭脳明晰、スポーツ万能。
性格も良いらしい。
「あーあ。梶山くんじゃなくても良いから、彼氏欲しいなぁ・・・」
なんて言いながらも、接点ないけど、なんとか知り合いになって───
あわよくば梶山くんと付き合えたら・・・なんて考える私は相当な馬鹿かもしれない。
「じゃあ竹浦くんは?」
「やだよ!オタクじゃん。趣味合わないし」
竹浦くんは黒髪に眼鏡、いつも一人でアニメ雑誌を読んでいる、私のクラスの典型的オタク男子。
私は机に頭を突っ伏せる。
そんな私の頭を誰かがバシッと叩く。
