あんな事があってから、何度かクラスの女子(多分藤野のことが好きな人)達に話を聞かれた。

藤野悠樹……本当に不思議な男だ。
まぁ、あんな性格だからこそ人気者になれるんだろう。

藤野に出会う前は、藤野の様な男は嫌いだった。
でも、あんな性格の奴も悪くないと今は思える…

でもそれは、藤野だからそう思える事なのかもしれない。
きっとあたしにとって藤野は、きっと……


特別な存在……

『藤野悠樹……』

「何?高橋?」

『いや、藤野という男は……って、え?!』

あたしの後ろにはさっきまでいなかったはずの藤野がいた。
それより、あたし…
毎回毎回タイミング悪いな!!

「俺っていう男は……何?」

『何でもない!気にするな。』

藤野はえぇーと言いながらあたしの肩に顎をのせた。

「教えてよ〜」

っ……か、可愛いなぁ!チクショー!!
何だ、お前は猫か!

『だー!
離れろ!!変な勘違いを周りにさせてしまうだろ!』

胸の鼓動が早くなる。
治まれ、この…ドキドキ…

「俺、高橋だったら勘違いさせてもいいな〜…」

『えっ……?』

「なーんてな、冗談冗談」

ケラケラ笑いながら藤野は言った。
最初の一言……期待した自分が恥ずかしい…

『あ、あはは……
冗談ってくらい、わかってる……』

笑ってるつもりだったのに…
あたしの目からは涙がこぼれた。