造りあげられた少年は
遺されて戸惑った


少年は翼など要らなかった
他と違うということで随分嫌な目に遭わされた
おまけに翼がなくとも自分が飛べることに気づいてしまった


男の遺した財産も底を尽きようとしていた


―――そうだ、売ってしまおう


少年は翼を切り落とした
そして物好きな研究者に
男の理論ごと打ってしまった


少年の手元には
一生を遊んで暮らせる以上の
莫大な財産ができた、同時に暇もできた