「あたしの知ったことじゃないけど、転校早々サボったりすんなよ。厄介な奴に目ぇつけられんぞ」
「気を付けるよ」
そっけないように見えて、優しいんだな。
案内だって、嫌がってたのに結局は引き受けた。
意外と真面目っていうか、お人好しっていうか・・・。
「他は?何かある?」
「特にないよ。案内ありがと」
「あ、そうだ」
立ち去りかけて雛月は立ち止まった。
「“風”には気を付けなよ。たぶん、あんたの嫌いな類の人間だと思う」
雛月が去った後、見計らったように強い風が吹いた。
まるで、この先の波乱を予感させるように。