sideヒナ

久しぶりに鍵盤に触れた指はやっぱり鈍っていて、3年という時間の空白を思い知らされた。

あの日からあたしは一歩も前に進めていなかったけど、ピアノの腕だけは日々退歩していたみたいだ。


「これじゃ本当に風沢と同レベルかもしれないな」


文化祭まではあと1週間くらい。
期限はその2日前。


奏多との勝負だけならともかく、あと数日で弾きこなせるだろうか。



最悪の場合、あの日より悪い結果になりそうだ。