side 広夜


放課後の音楽室に、俺と風沢と桐野は集まった。

タイムリミットは文化祭の二日前。


そこから正式に決まった指揮と伴奏で合わせて、ギリギリ形になる予定だ。


「私だけ仲間外れなんてひどいなぁ」


勝負のことを説明すると、桐野は残念そうだった。


「桐野には協力してもらわなきゃならないからさ。
あのヒナに対抗するには」


風沢と桐野は手分けして音符の上に階名を書いていく。


左手のパートはパッと見てすぐに音を判断するのが大変なんだとか。


地道に作業を続ける2人を横目に、俺はメトロノームに合わせて指揮の練習をしておく。