「本当にあいつの為を思うなら、そろそろ手を離すべきなんじゃない?
じゃなきゃいつまでたっても何も変わらない」


「お前に何が分かるんだよ」



部屋から出ること。

外を歩くこと。

学校へ行くこと。



そのひとつひとつの為に、どれだけ時間がかかったか、どれだけ勇気が必要だったかも知らないくせに。



あいつの傷が、どれだけ深いか知らないくせに。



「だったらあんたは全部分かってんの?」



分かってる・・・なんて言えなかった。


俺がしてきたことはあいつに頼まれたわけじゃない。


全て自己満足に過ぎなかったから。