side奏多


「楽譜、貸してくれない?」



それが、夕凪の頼み。


「何に使うんだよ?」


「教えない」



そう言って半分強引に楽譜を奪われた。


「おい、返せよ」


「いつまでくだらないこと引きずってるつもり?
傷付かないように守ってやることがあいつのためになるって本気で思ってんの?」


一番言われたくなかった言葉が胸に突き刺さった。