恋の罠

「でも、」


安心の溜め息を漏らす私の隣で、真剣な顔をして言う先輩。
突然話し出したから、ちょっとびっくりした。

すごい真剣な顔なんだ。


”でも”という単語の続きが気になった私は、声を出さずにじっと聞く。

今なら、蚊が鳴く声も、聞き逃さないかもね。


真剣な顔をした先輩が、口を開いた。


「でも、俺の大切なものを傷つける奴には……使う」

「”大切なもの”って……?」


無意識のうちに、口が開いていた。
先輩は、クスッと笑って、答えた。


「知りたいの?」


意地悪っぽく微笑む先輩に、私の目は、奪われた。



ううん。


目だけじゃないんだ。



目も、耳も、体も、心も、



全部先輩に、奪われちゃった。