--------放課後。
「美里ー、帰ろう!」
「ごめん、先帰ってて!!
職員室寄ってかなきゃ!」
実は、今日提出〆切の数学課題がまだ出せてないの。
結衣とバイバイして、職員室に向かう。
「失礼しまーす」
ここはいつ来ても、コーヒーの香りがする。
何で大人はあんなにコーヒーが好きなんだろ。
先生は、っと…
あれ…いない。
数学の先生がいない。
提出チェックをつけるから、必ず手渡すように言われてるのに。
「馨ちゃ〜ん!
品川先生いないの?」
副担任の馨ちゃんに助けを求める。
馨ちゃんは教師なりたてだから、若いし話しやすい。
「あー、いないみたいだなぁ〜
どうした?課題か?」
私が頷くと、馨ちゃんは少し考えて、近くの棚の引き出しを開けた。
「ほら。
これ貸すから探して来い」
と、手渡されたのは鍵の束。
「え…」
「どっかには居てるだろ。」
え…
全ての教室を探せと…?
「馨ちゃんの鬼…」
「お前なー、
先生探してちゃんと課題提出すのと、
諦めて点数ひかれるのと、どっちがいい?」
「…探してきまーす。」
馨ちゃん…
あれは彼女出来ないな。
余計な心配をしつつ、まずは職員室から近い図書室に向かう。
鍵は開いていた。
-----ガラ!!
…誰もいない。
次に資料室…
ここは借りた鍵を使った。
-----ガラッ!!!
ここにもいない。
数学の準備室・食堂・視聴覚室・保健室…
どこにもいないんですけど…
*゚。