シュガーレス

「いつからそんなに偉くなったのかね、君は」


「うるせー、早く行くぞ!」


美里の返事も聞かずに歩きだす。


コイツの言いたい事は嫌でもわかる。


どうせ昔の話を出してくるつもりだ。





‐‐‐‐


『おい、コウヘイ!

お前いっつも、女とばっか遊びやがって!』


『本当はお前も女なんじゃねーの?』


『やーい、オカマっ!!』


俺達がまだ小学生に上がる前のある日、近所の奴らにからかわれる事がよくあった。


この頃、俺は体があまり丈夫では無かったから、みんなのように外で走り回る事が出来なかった。


その代わり、近所で母親同士が仲の良い美里とばかり遊んでいた。


本を読んだり、花や動物を見に行ったりして。


端から見たら、確かに軟弱野郎だったんだろう。


だけど俺だって、みんなとケードロとか、戦いごっこがしたかったのに。


行き場の無い悔しさを、どう言い表せばいいか分からなかった俺は、ただ唇を噛み締めて涙を堪えていた。