カァーっと顔が熱くなる。
鏡で確認しなくてもわかる。
私の顔は真っ赤だ。
「…逃げてなんかない。」
「逃げてるだろ。
言いたい事だけ言って、逃げるな。
今も、…この前も。」
だって…
「なぁ坂本…
この前のって…」
――ピリリリリ!
不意に鳴り響いた電子音がきっかけで、先生の手が離れた。
着信画面を見てためらいながらも、先生が携帯を耳に当てた。
「はい。
いや、何だよ?仕事中だぞ…」
掴まれた手首を、反対の手で撫でる。
この痛みすら、どうしようもなく愛しい。
「え、今から?
無理に決まってるだろ?
…泣くなよ。」
…百合さんだ。
さっきから感じていた予感が、確信に変わった。

