シュガーレス



キーン、と耳なりがする。


「お父ちゃんな…何や心配なって、さっき戻ってきたんや。
そしたら…っ、」


男が声をつまらす。


何がや。


何、ふざけてんねん。


そんなはずない。


やって、今日…


『透の成績表見たら、元気になるわ!』って…笑ってた。




嘘や。


母さんの顔を見る。


その穏やかな顔は、寝ているようにしか見えへん。


恐る恐る頬に触れると、まだほのかに温かい。


この体温も、いつか消えてしまうんだろうか。




「…嫌や。」


そんなん、信じられへん。

「透…っ、」




母さん、何で?


何で、死んでもうたん?


何で、母さんが死なんとアカンねん。


誰のせいや…


誰の…


心の中で、今まで感じた事も無い悲しみと、怒りが込み上げてくる。



「…んや。」


「え?」


間抜けな表情を浮かべる男に、憎しみが頂点に達した。



「お前のせいや…お前が、母さん殺したんやっ!」