「あれは小六の終業式…明日から冬休みってゆう日やったな…」
……………………………………
その日、朝から体調が悪そうやった母さんに
俺は早く成績表を見せたくて、
走って帰った。
--ガラガラっ!!
大きな音を立てて、開く戸。
靴も揃えずに、家に上がる。
母さんは普段は滅多に怒らんかったけど、
行儀悪い事にはうるさかったから、
後で怒られるかもしれんな…
何て思いながら、部屋の襖を開けた。
『透、お帰り。
早かったねー!』
にっこりと微笑む母さんの姿が、頭に浮かぶ。
だけど、そこには予想外の光景が広がっていた。
布団で眠る母さんと、
何故かその側に
いつも、この時間にはおらん奴がおった。
「透…」
男が、口を開いた。
何で…
何で涙目やねん。
なぁ…
「母さん…死んでもうた。」