一瞬、
それがコンドームの袋だとは気付かずに、私の動きは一時停止状態だった。
ご丁寧に、封が切られている袋には、
『淫乱』
『二股女』
『男好き』
という単語が、油性ペンで書かれている。
どこからか聞こえてくる、クスクスという笑い声で我に返ると、
恥ずかしさと怒りと呆れの混じった感情が、一気に込み上げてきた。
手のひらを握り締め、グシャッという音と共に袋を潰すと、そのまま教室の後ろの方へ向かった。
あえて、笑い声の方は見向きもしない。
ここで確認しなくても、大体検討はつく。
ゴミ箱のふたを開け、右手を勢い良く振り下ろした。
こんな
こんな、幼稚でくだらない事するような奴らに
私は、負けたりなんかしない。
絶対に。