「結衣…どうしちゃったの?」
その日の帰り道。
靴を履き替えていると、美里が宇宙人でも見るような目で、私に尋ねてきた。
「何?」
「化学で満点とか…しかも、馨ちゃんのテストで…」
あり得ない、という顔で美里が呟いた。
「今回はね、頑張ったの。」
だって、勉強以外の1人の時間は余計な事考えちゃうし。
「私なんて…赤点だよ?!」
と、声を上げて嘆く美里。
赤点か…。
へこんでいる美里が少しかわいそうになって、フォローしてあげる事にした。
「今回は問題の出し方がちょっと、やらしかったよね。」
「へー、そう?」
フォロー、…しようとしたのが失敗だった。
「ぎゃっ、馨ちゃんっ!」
美里が奇声を上げると、そこには口の端を上げて笑う先生の姿があった。
やばい…。
「その、やらしい問題で満点とったのは誰だ?」
「…私ですねー。」
「じゃあ、来てもらえる?」
「え、」
「雑用。
赤点の罰として、藍川にやらせようと思ったけど。
気が変わった。」
「えー、先生私がやるよ!」
「美里、いいよ。」
「でもー、」
「ケーキ。
おごりで、いいよ!」
にっこり笑って、美里に手を振る。

