「結衣?」
意識がトリップしていた私が、その呼び掛けで現実に戻ってくると、
美里が心配そうに、私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめんごめん!」
「大丈夫?まだ気分悪いんじゃ…」
「大丈夫、大丈夫!
ちょっと、ボーっとしてただけ。」
「そう…?」
「ほらっ!帰ろう!」
美里は、私の体調の変化に敏感だ。
ちょっとでも、浮かない表情をしたら、すぐに飛んでくる。
いつからだろう。
自分に問うと、すぐに答えが出た。
それは、きっとあの日から。
『私が結衣を守るからっ…!』
私より10センチも小さい美里が、言ってくれた言葉。
『そんな小さな体で?』と、人が聞いたら笑うかもしれないけど、その言葉に私がどれだけ救われたかわからない。
私が誰かの優しさを、素直に受け入れられるのも
月曜日が来るのが待ち通しいくらい、誰かを想えたのも
美里が私の傍にいてくれたから、なんだよ?
ありがとう。