一向に動かないポンコツの元へ。

首根っこを掴んで立たせ、引きずる。



「あ、明里、あの…」


「お待たせいたしましたー改めまして、ちりめんじゃこですどうぞよろしくお願いしまーす!」


「え、あ、あの、明里ちゃん…?怒ってる、よね?ごめんね…!」



「うるせーよシャキッとしろなんであんな何もないとこでコケんだよふざけてんのかお前。

わたしたち2人はですね、実は兄妹でして人前で漫才するのは初めてなんですよ。

なので、今日はわたしたちのことを覚えて帰ってくださいねー。」




「明里、お兄ちゃん今から頑張るからね!お客さんも、俺頑張るから応援して下さいね!」



「うるせーっつってんのが聞こえねーのか何言ってんだとりあえず黙っとけポンコツが。

じゃあまず自己紹介からいきまょうか!

こちら、初舞台で無様にコケるポンコツ野郎。良いのは顔と無駄にポジティブな所だけ。特技はあたしを困らせること、兄の慎太郎でーす。」



「…そんな、明里ちゃんヒドイっ!紹介するならもっといいこと言ってよ!台本と違う!

この可愛い子は、俺の自慢の相方で、自慢の妹の明里ちゃんです!少し言葉は乱暴だけど、俺の我が儘に付き合ってくれるとってもイイコで、たまに見せる笑顔が劇的に可愛いです!超キュート!ねっ!!」



「ねっ!じゃねーよ恥ずかしい奴だな。
口が悪いってとこしか合ってねーし。」



「今日はずっと笑顔だね!可愛いしお兄ちゃん嬉しいけど、なんでそんなに笑顔なの?ステージだから?」



「もうあたしお前と言葉のキャッチボールする自信ないわ。」



「いつもそのくらい笑ってればみんなも喜ぶのにー!」



「勝手にしろ。やめさせてもらうわ。」



「え!やめるなんて言わないで!!」






開始1分30秒。


心が折れました。ばっきばきに。