ショーが終わり、ステージ袖に続々と着ぐるみたちが戻ってくる。

もふもふだ。かわいい。




「明里、行くよ?」

「おうよ。」



入れ替わるようにして、あたしたちはステージに戻る。


ステージ中央に立った途端、周りの音がきれいに響いてきた。




「明里ちゃーん!かわいいー!」

「慎太郎くーん!」



もしかしたら、福井さんの言う通りなのかもしれない。

このお客さんたちは思っている以上にあたしたちを受け入れてくれている。





「皆さまお待たせしました!

ここからはまたちりめんじゃこの進行で進めていきます!

ポンコツな私たちですがどうぞ最後まで楽しんでいってくださいね!」



「次のプログラムは、まるバツクイズだよー!自由参加なので、参加したい人は前の方に集まってくださーい!」



慎太郎の声に反応して動き出す会場のお客さんたち。


参加しない人たちは脇に避けてもらうようになるのだが、その移動に手間取っている。



「皆さま、移動の際は転倒の恐れもありますので、我先にではなく順番に、落ち着いて移動してくださいねー。

怪我人が出たら悲しいので、ご協力をお願いします!」



特に小さい子ども連れのお客さんは大変だ。



「明里ちゃん!大変だ!」


ステージ下にいた福井さんが大きな声であたしを呼んだ。



「何かありました?」


「予想以上に参加希望者がいてうれしい!」


「…それは良かったですねとしか言えません。」




なんだその気の抜けた悩みは。

言ってる暇があるなら移動の補助をしてきてください。



「では、そろそろ参加者を締め切らせていただきまーす。今回は特別にうちのポンコツも参加させていただきますので、周りにいる方は大いに構ってやってくださいねー」


「明里ちゃーん!お兄ちゃん頑張るからねー!優勝したらご褒美ちょうだーい!」



ステージ下の人の塊の中から相方のポンコツの声がする。

ちゃっかりマイクは持っていったらしい。



「それでは早速第1問!」




そこから始まるまるバツクイズに会場は見事にカオスと化した。