「マジーさんのおかげでなんとかステージがつながりました。本当にありがとうございます。」
机に置いてあった未開封のお茶を勝手にマジーさんに渡す。
マジーさんはそれを驚きながらも受け取ってくれた。
「…思っていたよりまともな妹ちゃんだな。」
「当たり前じゃないですか。さっきの暴挙はステージ上だったからです。無茶ぶりしてすみませんでした。」
「いや、うん。まぁ、突然MCやれなんて言われて大変だもんな。お客さんも楽しんでたし、まぁいいよ。」
どうやらマジーさんがマジマジいうのは興奮しているときだけらしい。
「明里、このあとのステージ企画の流れ確認しておこう。」
「はいよ。マジーさんにもまた助けてもらうと思うんで、その時はよろしくお願いしますね。」
「…オレの名前、柴田だから。マジーさんはやめてな。」
「柴田さん。よろしくお願いします。古川明里です。」
「おう。よろしく。」
マジーさん改め柴田さんとにこやかに自己紹介していると、目の前に急に壁ができた。
ポンコツの背中だ。
「柴田さん、どうも明里の兄の慎太郎です。妹がかわいいからといって手は出さないでくださいね。俺のかわいいかわいい妹はお嫁には出しませんから!!!」
「何の話だこのポンコツが。柴田さんに失礼だ。退け。」
ポンコツを後ろから叩いて横に退かせると柴田さんの正面に立つ。
「柴田さん、今後の打ち合わせしましょー」
そして着ぐるみに身を包まれている柴田さんの右腕をつかみ、腕を組んだ状態でポンコツの前から離れた。
「え、ちょ、明里?!それはダメだよ!俺だって腕組んだことないのに!
ちょ、ずるい!柴田さんそこ変わってくださいってか明里に触らないでくださいぃぃぃ!!!」
何か聞こえたか?
いや、気のせいだろ。

