「そんなことがあったんだ…」


「明里ちゃん、隠し事も嘘も上手だからなーお芝居やってたのもうなずけるね」



次の日の放課後、橋本くんと今野くんにも昨日先輩に話した内容をかいつまんで教えた。


この二人もあたしが、またステージに立つきっかけになった人たちだし、これからも支えてほしい二人だから。




「でも、もう吹っ切れたもんね?」


「たぶん直前になったらまた緊張すると思うけど…」



「そんなの、誰だってそうだと思うよー?明里ちゃんだけじゃないから大丈夫!」


「そうそう。オレなんか自分はステージに上がんないのに緊張するぞ。お前ら大丈夫かなーって」



橋本くんのそれは、もはや発表会で子どもの出番を待つ親の心境みたいじゃないですか。


…ま、それだけあたしたちのやることに本気で付き合ってくれてるってことだよね。




「うん。大丈夫。みんなに心配されないように、胸張ってステージに立つよ」




そのくらいでしか、みんなの本気に返すものが見つからないからね。



「よし!そうと決まれば、練習!」