お笑いの楽しさも、もうとっくに気付いている。

気付かされている。



歌とも、踊りとも、お芝居とも違うけれど、ステージの上で慎太郎とできるのは楽しいし、うれしい。



慎太郎とあたしがやったことで、お客さんが笑顔になってくれるのがうれしい。





「…なーんか、オレが入る隙間なんか端からない感じですかね。」


いまだにあたしの頭をニコニコと嬉しそうに撫でる慎太郎を見ていると、横から少し拗ねたような声が聞こえてきた。



「あれなんだろうね。

明里くんが兄貴を頼ったり甘えたりしたくないってのは、迷惑かけたくないって意識から自然とそうしちゃう習慣がついちゃってる感じなんだね…」




そうなんだろうか?
自分でもよくわからない。



「……うわ!なんかもうそんな話聞いたら明里くんの相方なんて立候補できねーじゃん!

明里くんの隣は兄貴専用じゃないのそれ!しかもなにそのいじらしい明里くん!可愛すぎるでしょ!!」




急に発狂しだした先輩に冷たい視線を送っていると、階下からお母さんの「ご飯できたよ」合図が送られてきたので、騒ぐ先輩を引っ張ってリビングへと向かうことに。




「明里、頑張れそう?」


「おかげさまで。やっと吹っ切れそうだよ。」



もう過去は吹っ切る。

今のあたしはあの頃とは違う。


カメラでも通行人でもアナウンサーでもなんでも来い!!