あたしが小6、慎太郎が中1、このころのあたしは人前に出るのが好きで、歌もダンスも好きで、小学校でも自分から目立つ役職に立候補するような子供だった。



テレビの中のアイドルや女優さんに憧れて、漠然と芸能人になりたいと夢見ていた。


そして、夢への第一歩として町の小さな劇団に入ったんだ。



お母さんは劇団に入るのには反対したんだけど、慎太郎も一緒ならいいとの条件付きで許してくれた。



当時、中学に入って興味本位で入部したテニス部に飽きて、部活もいかずにふらふらしていた慎太郎は、この劇団の話を二つ返事で了承し、あたしと一緒に劇団に入団した。




知名度も低く、小さな劇団だったから役をもらえるのも割と早くてチョイ役脇役をこなしていたんだけど、入団してから約一年過ぎて、あたしと慎太郎で大きな役をもらえた。


それまでとは比べ物にならないくらいセリフも多くて、主役ではないけど物語のキーマンとなる大切な役。



しかも慎太郎と兄妹の役。




あたしは完全に浮かれていたんだと思う。