夏を先どる微風は 彼の前髪を微かに揺らし 私の少し長い髪の毛の先端と前髪を 軽くなでていった。 彼の繊細な細長い指が少しずつ音を出していく。 風を呼んで 時を止めた気がした。 大げさかもしれないけれど、 私にはそう感じ取れた。