彼の右手の少し離れたところに、
黒いエレキギターが置いてあった。
私はギターを指差す。
彼が指の先を見る。
『あぁ…いつもは音楽室の隣の空き教室で弾いてるんだけど…』
『今日は空いてなかったんですか?』
『夏休み明けたら文化祭が始まるだろう?
部活をやってる人達は忙しくて
なかなか集まれないから今から練習してるんだ。』
『へぇ…そうなんですか。。』
『そうなんです。』
彼が少し、悔しそうに笑う。
『あの、よかったら…何でもいいから聴かせてくれませんか?』
私は、
彼がどんな音で、どんな顔で弾くのか、
珍しく気になった。
