(児玉の電話の声)「そういうことがあっての、ちょうどこの
20日が3回忌じゃが、どうする?墓参りするか?」

(若林)「ああ、墓参りする。お前も何人か当たってくれ」
(児玉の声)「よしわかった。柴山の親父さんにも伝えとくけえの」
電話を切る音。

(若林のN)「柴山杏子とは小学校以来の幼馴染だ。中学高校と
離れ離れになり、中3の同窓会で1度会ったきりで受験の時期を迎えた。
若林は京都の1期校に二度失敗し、二期校の伏見の学芸大に通いながら

翌年最後のチャンスをかけて毎日学内の図書館で受験勉強をしていた。
柴山が偶然この大学にいることに気付いてはいたのだが。
それどころではなかった」