踏み切りの音。列車の音がずっと続いている。
(車内アナウンス)「まもなく終点広島です。山陽本線くだりは
1番ホームから岩国行き・・・・・」

アナウンスの声遠ざかり消える。
(若林のN)「杏子は母親が退院するまでの1ヶ月間広島にいた。
父の食事の世話をしながら毎日看病に通った。結局その年の暮れも
正月も杏子は広島にいたのだ。だから、手紙はそのままになったのか」

近づく足音。ノックの音。
(杏子)「はい」
(婦長)「柴山さん、ご機嫌いかがですか?今日退院ですよ」
(杏子と母)「ありがとうございます」

(婦長)「もりもり食べてもっと元気になってください」
(母)「はい、もりもり食べます」
みんなの笑い声。